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ゴルフクラブのメーカーは数多くありますが、そのなかでPING(ピン)は少し変わった立ち位置にあります。クラブを体に合わせて調整する「フィッティング」を、業界のなかでもかなり早い段階から仕組みとして持っていたメーカーだからです。
PINGのアイアンに色のついた目印が入っているのを見たことがあるかもしれません。あれは装飾ではなく、そのクラブがどういう体格の人向けに作られているかを示す記号です。本記事では、PINGの成り立ちと、この独特な仕組みを整理します。
PINGはどんなメーカーか
PINGは1959年、カルステン・ソルハイム(Karsten Solheim)がアメリカで立ち上げたメーカーです。本社はアリゾナ州フェニックスにあります。
創業者のソルハイムは、もともとゼネラル・エレクトリック社の機械技術者でした。1911年にノルウェーのベルゲンで生まれ、のちにアメリカへ渡っています。ゴルフクラブの作り手というより、エンジニアの発想からクラブに入ってきた人物という点が、その後の製品づくりに影響しています。
最初の製品は「1A」というパターで、1959年1月15日に出荷されました。
社名「PING」の由来
社名は、金属がボールに当たったときに聞こえた音から取られています。打ったときの澄んだ音がそのまま社名になった、という成り立ちです。
ゴルフブランドの名前は創業者名や地名を使うものが多いなかで、音を名前にしているのは珍しい例といえます。
「Anser」というパターの名前
PINGを語るうえで外せないのが、1966年にソルハイムが設計したAnserというパターです。
名前は妻のルイーズが「Answer(答え)」と名づけたものを短縮したもので、綴りから1文字落として「Anser」になりました。1967年3月21日に特許を取得しています。
このパターは1967年初頭のフェニックス・オープンでジュリアス・ボロスが使用して勝利し、広く知られるようになりました。日本で「ピン型」と呼ばれるパターの形状は、このモデルに由来するものです。パターの形状分類についてはゴルフクラブの種類で解説しています。

カラーコードというフィッティングの仕組み
PINGが1972年に導入したのが、色でクラブの仕様を示すカラーコードです。クラブに色のついた目印を付け、それによってライ角(クラブを構えたときのシャフトと地面の角度)を表す方式で、業界で初めての取り組みでした。
仕組み自体はとても単純です。使うのは次の2つの数値だけです。
- 身長
- 手首から床までの長さ(リスト・トゥ・フロア)
この2つをチャート上に当てはめると、そのゴルファーに合うライ角の色と、推奨されるクラブの長さが分かります。創業者のソルハイム自身が考案した方法で、半世紀を経た現在も使われ続けています。
なぜライ角が問題になるのか
ライ角が体に合っていないと、正しく振ってもボールが真っ直ぐ飛びません。
- ライ角が大きすぎる(アップライト):ヘッドのトウ側が浮き、左に出やすくなる
- ライ角が小さすぎる(フラット):ヘッドのヒール側が浮き、右に出やすくなる
スイングを直そうとして練習を重ねても直らない曲がりが、実はクラブの角度が原因だった、ということは起こります。カラーコードは、これを体格の数値から機械的に割り出す仕組みです。
実測フィッティングとの違い
身長と手首から床までの長さで出る色は、あくまで静的な目安です。実際には、スイング中にシャフトがしなり、ヘッドの入り方も人によって変わります。
PINGは1980年頃からファクトリーでのフィッティングプログラムも提供しています。静的な数値で当たりをつけ、そこから実際に打って詰めていく、という二段構えになっています。
自分の数値を先に測っておく
カラーコードの考え方が分かると、フィッティングを受ける前に自分でできることが見えてきます。必要なのは2つの数値だけだからです。
身長は普段どおりに測れば済みます。問題は手首から床までの長さのほうで、こちらは測り方に決まりがあります。靴を履かず、腕を体の横に自然に下ろした状態で、手首の折れ目から床までを垂直に測ります。力を入れて腕を伸ばしたり、肩を落としたりすると数値が変わってしまうため、普段立っているときの姿勢のまま測るのが要点です。
この2つを控えておくと、店頭でのやり取りが早く進みます。試打の前に静的な当たりがついているため、いきなり総当たりで打ち比べる必要がなくなるからです。中古クラブを見るときにも、そのまま判断材料として使えます。
ライ角以外に決まること
フィッティングで調整されるのはライ角だけではありません。同じ測定から、いくつかの項目が連動して決まっていきます。
クラブの長さは、その代表です。身長が同じでも腕の長さが違えば、構えたときの前傾の深さが変わります。標準の長さで無理な姿勢になるなら、短くするか長くするかで自然な構えに寄せられます。
グリップの太さも見落とされやすい項目です。手のサイズに対して細すぎると握り込みすぎてしまい、太すぎると手首が使いにくくなります。どちらもスイング中の動きに影響するため、感覚だけで選ばずに測っておく価値があります。
シャフトの硬さは、体格ではなくスイングの速さから決まります。ここだけは静的な測定では出ないため、実際に打って確かめる必要があります。
エンジニア発想がもたらしたもの
創業者がクラブ職人ではなく機械技術者だったという点は、製品の考え方に表れています。
職人の作り方は、感覚と経験を積み重ねて形を詰めていくものです。それに対して技術者の発想は、測れるものは測り、数値で決めるという方向に向かいます。体格から角度を割り出すという仕組みは、まさにこの発想から出てきたものです。
こうした考え方は、いまでは業界全体に広がっています。しかし半世紀前の時点で、色という誰にでも分かる形にまで落とし込んだ例はほとんどありませんでした。仕組みの中身より、誰でも使える形にしたという点にこのメーカーの性格が出ています。
PINGのクラブが向いている人
仕組みを踏まえると、向き不向きが見えてきます。
| こういう人 | 理由 |
|---|---|
| 標準的な体格から外れている | 既製品が合わないため、調整前提の設計が効く |
| 曲がりの原因が分からない | クラブ側の要因を切り分けられる |
| 長く使いたい | 仕様が記録として残るため買い替え時に参照できる |
逆に、とりあえず安く一式そろえたいという段階であれば、優先度は高くありません。クラブ選びの前提はゴルフ初めてガイドで整理しています。
中古で買うときに見落としやすい点
PINGのクラブを中古で買う場合、カラーコードは前の持ち主の体格に合わせたものだという点に注意が必要です。
色は飾りではなく仕様です。自分と体格の違う人向けの個体を買うと、ライ角が合わないクラブを使うことになります。
- 商品説明に記載されたカラーコードを必ず確認する
- 自分の身長と手首から床までの長さを事前に測っておく
- 合わない場合、調整できるかどうかを販売店に確認する
中古クラブ全般の見方は中古ゴルフクラブの選び方にまとめています。
在庫を横断して比べるなら、楽天市場でPINGのクラブを探すやAmazonでPINGのクラブを探すから探せます。
つるやゴルフONLINEで商品を探す
では、カスタム対応を含めた取り扱いを確認できます。
色が合わなかったときにどうするか
測ってみて、いま使っているクラブと違う色が出ることがあります。この場合の選択肢は3つです。
1つ目は、ライ角を調整してもらう方法です。多くのアイアンは、専門の工房で角度を曲げることができます。ただし素材や構造によっては調整幅に限りがあり、まったく曲げられないモデルもあります。購入前に可否を確認しておくのが確実です。
2つ目は、合う仕様のものに買い替える方法です。中古を含めれば、同じモデルで別の色が見つかることもあります。調整費用と買い替え費用を比べて判断することになります。
3つ目は、そのまま使い続けるという判断です。ずれが小さければ、実際のスイングで吸収できる範囲に収まることもあります。すべてを数値どおりに揃えないと打てないわけではありません。
重要なのは、ずれていると分かった状態で使うことです。原因が分かっていれば、曲がりが出たときにスイングを疑うのか道具を疑うのかを切り分けられます。判断の材料が増えること自体に意味があります。
PINGに関するQ&A
Q. PINGはいつ創業したメーカーですか?
A. 1959年です。創業者はカルステン・ソルハイムで、本社はアメリカ・アリゾナ州フェニックスにあります。
Q. 社名の由来は何ですか?
A. 金属がボールに当たったときに聞こえた音から取られています。
Q. 「ピン型パター」の名前はPINGから来ているのですか?
A. 1966年に設計された「Anser」というモデルの形状が原型です。名前は妻のルイーズが「Answer」と名づけたものを縮めたものです。
Q. カラーコードとは何ですか?
A. クラブのライ角を色で示す仕組みです。1972年にPINGが業界で初めて導入しました。
Q. 自分の色はどうやって分かりますか?
A. 身長と、手首から床までの長さの2つを測り、チャートに当てはめます。
Q. ライ角が合わないとどうなりますか?
A. 正しく振っても方向が安定しません。アップライトすぎると左、フラットすぎると右に出やすくなります。
Q. 中古で買っても大丈夫ですか?
A. 買えますが、カラーコードは前の持ち主の体格に合わせたものです。購入前に色を確認してください。
まとめ
- PINGは1959年創業、創業者はエンジニア出身のカルステン・ソルハイム
- 社名は金属がボールに当たる音に由来する
- 「ピン型」パターの原型は1966年設計の「Anser」(1967年特許取得)
- 1972年にカラーコードによるフィッティングを業界で初めて導入
- 色が示すのはライ角。身長と手首から床までの長さの2つで決まる
- ライ角が合わないと、振り方が正しくても方向が安定しない
- 中古では、カラーコードが自分に合う個体かを必ず確認する
クラブを体に合わせるという考え方は、いまでは珍しくありません。それを半世紀前から色という分かりやすい形で仕組み化していた点が、このメーカーの特徴です。
自分の色を知っておくと、新品でも中古でも判断の軸ができます。身長と手首から床までの長さを測るだけなので、機会があれば一度確認しておく価値はあります。