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全米オープンは、男子プロゴルフの4大メジャーのうち3番目に開かれる大会です。6月に行われ、最終日が父の日にあたるという決まった形を持っています。

この大会を特徴づけているのは2点です。スコアが出ないように作られているということ、そして誰にでも挑戦する道が開かれているということです。一見矛盾するこの2つが同時に成り立っているのが、全米オープンという大会です。

全米オープンはいつ始まったのか

第1回は1895年10月4日に開かれました。4大メジャーのなかでは全英オープンに次いで古い大会で、100年以上の歴史を持っています。

主催しているのは全米ゴルフ協会(USGA)です。ここが大会の性格を決めています。USGAはアメリカのゴルフを統括する団体で、ルールや用具の基準を定める立場にあります。その団体が主催する「オープン選手権」という位置づけになっています。

大会名にある「オープン」という言葉は飾りではありません。文字どおり、出場の門が開かれているという意味です。この点は後で詳しく触れます。

6月開催、最終日は父の日

開催時期は6月中旬に固定されています。正確には、6月の第3日曜日、つまり父の日に最終日を迎えるように組まれています。

毎年ほぼ同じ時期なので、観戦の予定を立てやすい大会です。年最初のメジャーであるマスターズが4月、5月に全米プロが入り、6月に全米オープン、7月に全英オープンという並びになります。

父の日に決着するという形は、アメリカでこの大会が持っている位置づけを示しています。家族でテレビを見るという文化的な文脈が、日程に組み込まれているわけです。

コースは持ち回り

開催地は固定されていません。毎年さまざまなコースを持ち回る方式です。

ここがマスターズとの決定的な違いになります。マスターズがオーガスタ・ナショナルに固定されているのに対し、全米オープンは開催地が動きます。

持ち回りであることの意味は、毎年違う条件で争われるということです。リンクスのような風の強い土地が選ばれる年もあり、樹木に囲まれた内陸のコースが選ばれる年もあります。選手は毎年ゼロから読み直すことになります。

その代わり、コースごとの記憶は蓄積しにくくなります。あのホールのあの場面という語り方がしにくいのは、開催地が動くからです。固定と持ち回りのどちらが良いという話ではなく、大会の性格が違うということです。

Golf ball sitting down in long thick rough beside a fairway, photorealistic, no text

なぜスコアが出ないのか

全米オープンは、スコアが非常に出にくいようにセッティングされることで知られています。これは偶然ではなく、意図された設計です。

重視されているのは正確なドライビングです。フェアウェイが狭く取られ、その外にはボールが沈むほどの深いラフが用意されます。曲げた瞬間に次の一打が制限されるため、距離よりも方向の正確さが問われます。

結果として、優勝スコアがアンダーパーにならない年もあります。他の大会では二桁アンダーで決着することがあるなかで、イーブンパー前後で優勝が決まるのは、このセッティングによるものです。

この考え方はアマチュアにも通じます。曲げた球の代償が大きいコースでは、距離を落として確実にフェアウェイに置くほうが打数は少なく収まります。スライスで右に出る癖があるなら、原因を押さえておくと戦略が立てられます。ゴルフで右に曲がる原因と直し方で扱っています。

OBの処理や救済の手順を知っていると、中継の判断も見えてきます。ゴルフのOBとは、ゴルフの赤杭ルールにまとめました。

誰でも挑戦できる仕組み

最難関と呼ばれる一方で、この大会には誰にでも開かれた入口があります。

出場資格は次のようになっています。

  • プロフェッショナルであれば誰でも
  • アマチュアはUSGAハンディキャップインデックスが0.4以下であれば誰でも

つまり、所属や実績による制限がありません。条件を満たしていれば、まったく無名の選手でも予選に申し込むことができます。

これはマスターズとは正反対の仕組みです。マスターズが招待制で出場者を絞るのに対し、全米オープンは誰でも挑戦できる予選から本戦へつながる構造を持っています。毎年、予選を勝ち上がった無名の選手が本戦に名を連ねます。

ハンディキャップ0.4以下という条件は、言い換えればほぼスクラッチプレーヤーです。アマチュアとしては相当な水準ですが、「協会に認められた人だけ」という性質の制限ではありません。ハンディキャップの考え方はゴルフのハンディキャップとはで解説しています。

優勝者が得る出場権

優勝者が得るものには、将来の出場権が含まれます。

他の3つのメジャーへの出場権が5年間与えられます。1勝することで、その後数年の競技生活の足場が固まるということです。

メジャーの優勝が選手のキャリアを変えると言われるのは、賞金額よりもこうした資格の面が大きいからです。出場できる大会が確保されれば、ランキングを維持するための計算が立ちます。

他のメジャーとの性格の違い

4つのメジャーを並べると、全米オープンの位置がはっきりします。同じ「メジャー」という括りでも、何を競わせようとしているかが大会ごとに違うからです。

マスターズは開催地を固定することで、年をまたいだ比較を可能にしました。同じ18ホールを毎年争うため、過去の記憶と重ね合わせて見る大会になっています。これに対して全米オープンは毎年コースを変えます。比較の軸が土地ではなく、条件への適応力に置かれているということです。

出場資格の設計にも違いが表れます。マスターズが招待制で人数を絞るのに対し、全米オープンは誰でも挑戦できる予選を入口に置いています。ひとつは「選ばれた者の大会」、もうひとつは「勝ち上がってくる大会」という構えです。どちらが優れているという話ではなく、協会主催とクラブ主催という主催者の性格がそのまま出ています。

セッティングの考え方も対照的です。全米オープンはスコアを抑え込む方向でコースを作ります。伸ばす競争ではなく、崩れない競争にするという設計です。結果として、最終日の終盤でパーを並べた選手が残るという展開になりやすくなります。派手なバーディ合戦を期待して見ると物足りないかもしれませんが、耐えることの難しさを見る大会として見ると、独特の緊張感があります。

この違いを知っておくと、1年を通じてメジャーを追う面白さが変わります。4月のマスターズで積み上がった記憶を見て、6月の全米オープンで適応力を見る。同じ選手が別の資質を試される姿を、年に数回見られるということです。

観戦するときの見どころ

セッティングの性格から、見るべき点が絞られます。

ティーショットの置き所です。選手がドライバーを抜いて短いクラブを持つ場面が頻繁に出てきます。距離を捨ててでもフェアウェイに置くという判断が、この大会では正解になるからです。

ラフからの脱出も見どころになります。深いラフからはグリーンを狙えないため、選手は刻むしかありません。ここで無理をした選手がスコアを崩していく展開が、毎年繰り返されます。

終盤の我慢も特徴です。スコアを伸ばす大会ではなく、落とさない大会という性格が強いため、最終日の後半はパーを並べた選手が残ります。攻めた選手が勝つとは限らないという点が、他の大会と違う緊張感を生みます。

日本でトーナメントコースを回る

テレビで見た難しさを自分の球で確かめたいなら、国内のトーナメント開催コースを回ってみるという方法があります。

当サイトで扱っている例では、国内男子ツアーの舞台である芥屋ゴルフ倶楽部、2015年の日本オープンが開かれた六甲国際ゴルフ倶楽部、チャレンジトーナメントが毎年開かれる福岡雷山ゴルフ倶楽部があります。

ラフが伸びている時期に行くと、曲げた代償の意味が実感として分かります。楽天GORAでトーナメント開催コースを探すと、日付と料金帯を指定して空き状況を確認できます。予約の考え方はゴルフ場予約のコツにまとめました。

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全米オープンに関するQ&A

Q. 全米オープンはいつ始まった大会ですか?

A. 1895年です。第1回は1895年10月4日に開かれました。

Q. 主催はどこですか?

A. 全米ゴルフ協会(USGA)です。アメリカのゴルフを統括し、ルールや用具の基準を定める団体です。

Q. 開催時期はいつですか?

A. 6月中旬で、6月の第3日曜日である父の日に最終日を迎えるように組まれています。

Q. 開催コースは決まっていますか?

A. 決まっていません。毎年さまざまなコースを持ち回ります。

Q. なぜ難しいのですか?

A. スコアが出にくいようにセッティングされているためです。フェアウェイが狭く深いラフが用意され、正確なドライビングが重視されます。

Q. アマチュアでも出られますか?

A. USGAハンディキャップインデックスが0.4以下であれば、誰でも挑戦できます。プロであれば制限はありません。

Q. 優勝すると何が得られますか?

A. 他の3つのメジャーへの出場権が5年間与えられます。

まとめ

  • 全米オープンは1895年創設。4大メジャーでは全英オープンに次いで古い
  • 主催は全米ゴルフ協会(USGA)
  • 6月中旬開催で、父の日(6月の第3日曜)に最終日を迎える
  • 開催コースは固定されず、毎年持ち回る
  • スコアが出にくいよう意図的にセッティングされ、正確なドライビングが問われる
  • プロは誰でも、アマチュアはハンディキャップ0.4以下なら誰でも挑戦できる
  • 優勝者には他3メジャーへの5年間の出場権が与えられる

最難関と呼ばれながら、入口は誰にでも開かれている。この組み合わせが全米オープンの性格を作っています。

観るときは、選手がドライバーを抜く場面に注目してみてください。距離を捨てる判断がなぜ正解になるのかが分かると、自分のラウンドでの選択も変わってきます。