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全英オープンは、男子の4大メジャーのうち最後、7月に開かれる大会です。英語では The Open Championship と呼ばれ、単に「ジ・オープン」と言えばこの大会を指します。

この大会を他の3つから分けているのは、世界で最も古いゴルフ競技であるという事実です。そしてもうひとつ、リンクスと呼ばれる特殊な地形でしか開かれないという決まりがあります。本記事では、この2点を軸に全英オープンを整理します。

世界最古のゴルフトーナメント

第1回は1860年10月17日、スコットランドのプレストウィック・ゴルフクラブで開かれました。世界で最も古いゴルフトーナメントです。

ほかのメジャーの創設年と並べると、その古さが分かります。

大会 創設年
全英オープン 1860年
全米オープン 1895年
全米プロ 1916年
マスターズ 1934年

全米オープンより35年早く、マスターズより74年早い大会です。ゴルフというスポーツがまだ英国のものだった時代に始まり、そのまま続いてきました。

主催しているのはR&Aです。ゴルフのルールを統括する立場にある団体で、全米ゴルフ協会と並んで世界のルールを定めています。全米オープンがUSGA主催であるのと対応する関係です。

「オープン」という名前の意味

大会名が The Open Championship であり、国名が入っていないという点に気づいた人もいるかもしれません。日本では便宜的に「全英オープン」と呼びますが、現地では国名を付けずに「ジ・オープン」と呼ばれます。

これは最初のオープン選手権だったという事実の反映です。1860年の時点で、ほかに「オープン選手権」と呼べる競技は存在しませんでした。後から各国が自国のオープン選手権を作っていったため、そちらには国名が付き、最初のものだけが国名なしで残ったという経緯になります。

「オープン」という語そのものは、出場の門が開かれていることを意味します。プロだけの大会ではなく、条件を満たせばアマチュアにも道があるという設計です。この考え方は後続のオープン選手権にも受け継がれました。アマチュアにも挑戦の入口がある全米オープンや、プロ・アマを問わない日本のナショナルオープンも、同じ系譜にあります。

逆に言えば、招待制で出場者を絞るマスターズは、この伝統とは別の発想で作られた大会ということになります。4つのメジャーが同じ重みを持ちながら、出場の考え方が揃っていないのは、成り立った時代と主催者の性格が違うからです。

名前のつき方ひとつにも歴史が残っているという点は、160年という年月の長さを示しています。ルールを統括する団体がそのまま主催を続けているのも、ゴルフという競技が英国から広がったという経緯の名残です。

開催時期は7月中旬

開催は7月の中旬です。正確には、7月の第3金曜日の前日に開幕するという形で組まれています。木曜に始まり、日曜に決着するという4日間です。

4月のマスターズ、5月の全米プロ、6月の全米オープンと続いてきたメジャーの流れは、この大会で締めくくられます。年間の区切りとして見られるのは、この位置づけによるものです。

リンクスコースを持ち回る

全英オープンの開催地は、リンクスコースに限られます。

リンクスとは、海岸沿いの砂地にできた地形を利用したコースのことです。樹木がほとんどなく、起伏のある砂丘と背の高い草に囲まれています。人の手で作り込んだ内陸のコースとは、成り立ちがまったく違います。

第1回から1871年まではプレストウィック単独の開催でしたが、1872年から複数コースでの持ち回りが始まりました。現在は5年間のうちスコットランドのコースが3つ、イングランドのコースが2つ開催するという配分になっています。

開催実績のあるコースは10コースほどで、セント・アンドリュース、ミュアフィールド、ロイヤル・セント・ジョージズ、ロイヤル・リバプール、ロイヤル・トゥルーン、ロイヤル・リサム、カーヌスティ、ロイヤル・バークデールなどが含まれます。

Deep revetted pot bunker on a links golf course with dune grass behind, photorealistic, no text

なぜリンクスは難しいのか

リンクスの難しさは、内陸のコースとは種類が違います。

まず風です。海沿いで樹木がないため、風を遮るものがありません。同じホールが、風向きによってまったく違う距離になります。アゲンストでは2クラブ上げても届かず、フォローでは短いクラブでグリーンを越えます。

次に地面の硬さです。砂地の上にできた土地なので水はけがよく、芝が締まっています。落ちたボールが止まらず、転がり続けます。空中で距離を合わせる発想が通用せず、どこに落としてどこまで転がすかを計算することになります。

そしてバンカーです。リンクスには、縁が垂直に積み上げられた深いバンカーがあります。入ると横や後ろに出すしかない場面が頻繁にあり、1打で脱出できないこともあります。バンカーの基本的な考え方はバンカーのルールと打ち方で扱っています。

これらが重なると、空中戦ではなく地上戦になります。高く上げて止めるという現代的な攻め方が効かず、低く出して転がすという技術が求められます。選手が普段と違うクラブ選択をするのは、この条件に合わせているからです。

天候が結果を大きく左右するという点も特徴です。同じ日でも午前と午後で風が変わり、スタート時間によって条件が違ってきます。コースの天候の見方はゴルフ場の天気の調べ方にまとめました。

クラレットジャグ

優勝者に渡されるのがクラレットジャグです。正式には The Golf Champion Trophy と呼ばれ、1872年に初めて授与されました。

ワインを注ぐための水差しの形をした銀製のトロフィーで、マスターズのグリーンジャケット、全米プロのワナメーカートロフィーと並んで、メジャーの象徴として知られています。

優勝者が得るものは次のとおりです。

  • クラレットジャグとメダル
  • 賞金(総額の18パーセント)
  • 5年間のツアー会員権
  • 今後のメジャー大会への出場権

賞金が総額に対する比率で定められているという点は、他の大会と比べたときに目を引く部分です。

観戦するときの見どころ

リンクスという条件から、見るべき点がはっきりします。

クラブ選択です。残り距離が同じでも、選手が持つクラブが日によって変わります。風とランを計算に入れているからです。中継で表示される残り距離と、選手が選ぶクラブの関係を見ていると、条件の厳しさが伝わってきます。

低い球も見どころになります。風の下を抜く低い弾道が、この大会では武器になります。普段は高い球で戦う選手が、ここでは別の打ち方を見せることがあります。

スタート時間による有利不利も特徴です。午前と午後で風が変わるため、組み合わせの運が結果に影響します。実力だけでは決まらない部分があるという点は、自然条件の上で競技をしているという事実の表れです。

日本でリンクスに近い体験をする

日本には本来の意味でのリンクスはほとんどありませんが、海沿いで風と向き合うコースはあります。

当サイトで扱っている例では、福岡県糸島市の海沿いに広がる芥屋ゴルフ倶楽部がシーサイドコースです。玄界灘の風と向き合う設計で知られています。東京湾に面した若洲ゴルフリンクスも、名前のとおり海辺の立地です。

風が強い日に行くと、中継で見ていた判断の意味が実感として分かります。番手を2つ上げても届かないという経験は、一度すると忘れません。楽天GORAで海沿いのコースを探すと、エリアと日付を指定して空き状況を確認できます。予約の考え方はゴルフ場予約のコツにまとめました。

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全英オープンに関するQ&A

Q. 全英オープンはいつ始まった大会ですか?

A. 1860年10月17日、スコットランドのプレストウィック・ゴルフクラブで第1回が開かれました。世界で最も古いゴルフトーナメントです。

Q. 主催はどこですか?

A. R&Aです。ゴルフのルールを統括する立場にある団体です。

Q. 開催時期はいつですか?

A. 7月中旬です。7月の第3金曜日の前日に開幕し、日曜に決着します。

Q. 開催コースはどう決まりますか?

A. リンクスコースを持ち回ります。現在は5年間のうちスコットランドが3コース、イングランドが2コースという配分です。

Q. リンクスコースとは何ですか?

A. 海岸沿いの砂地の地形を利用したコースです。樹木がなく、風を遮るものがありません。地面が締まっていてボールが転がり続けます。

Q. クラレットジャグとは何ですか?

A. 優勝者に渡されるトロフィーです。正式名称は The Golf Champion Trophy で、1872年に初めて授与されました。

Q. 優勝すると何が得られますか?

A. クラレットジャグとメダル、賞金総額の18パーセント、5年間のツアー会員権、今後のメジャーへの出場権などです。

まとめ

  • 全英オープンは1860年創設、世界で最も古いゴルフトーナメント
  • 初開催はスコットランドのプレストウィック・ゴルフクラブ
  • 主催はR&A。ゴルフのルールを統括する団体
  • 7月中旬開催で、第3金曜日の前日に開幕する
  • 開催地はリンクスコースに限られ、1872年から持ち回りになった
  • 5年間でスコットランド3コース、イングランド2コースという配分
  • 風と締まった地面により、低い球で転がす技術が求められる
  • クラレットジャグは1872年から授与されている

4つのメジャーのうち、自然条件がもっとも結果に影響する大会です。実力だけでは決まらない部分が残っているという点が、160年以上続いてきた理由でもあります。

風の強い日に海沿いのコースへ行ってみると、この大会の見え方が変わります。番手の計算が崩れる経験をすると、選手が何と戦っているのかが分かるようになります。