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テーラーメイドは、ドライバーのメーカーとして知られる会社です。ただ、このメーカーの歴史的な意味は、個々の製品よりもヘッドの素材を変えたという一点にあります。
いま市販されているドライバーはすべて金属製です。しかし、かつてはそうではありませんでした。本記事では、その転換を起こした会社としてのテーラーメイドと、何度も親会社が変わってきた経緯を整理します。
創業は1979年、メタルウッドから始まった
創業者はゲーリー・アダムス。1979年に会社を立ち上げました。
この人物はメタルウッドの発明者として知られています。会社は創業当初からこれを主力商品にしており、社名が示す「テーラーメイド(あつらえ)」という発想も、既存の枠を外れた製品を作るという姿勢と重なります。
本社はアメリカのカリフォルニア州カールスバッドにあります。この街にはキャロウェイゴルフの本社もあり、ゴルフ用品メーカーが集まる土地として知られています。1979年のテーラーメイドと1982年のキャロウェイが、同じ街で数年違いに生まれているという関係です。
「ウッド」が木だった時代
メタルウッドという言葉は、いま聞くと奇妙です。金属なのにウッド(木)と呼ぶからです。これは歴史の名残です。
かつてドライバーやフェアウェイウッドのヘッドは、パーシモン(柿の木)などの木材で作られていました。だから「ウッド」でした。木製ヘッドには独特の打感がある一方、問題もありました。
- 個体差が出る:天然素材なので木目や密度が揃わない
- 湿気や衝撃に弱い:割れたり変形したりする
- 大型化できない:強度の限界があり、ヘッドを大きくしにくい
- 重量配分を設計しにくい:中身が詰まっているため自由度が低い
金属ヘッドはこれらを解決します。中を空洞にできるため、同じ重さでヘッドを大きくでき、重量をどこに置くかも設計できます。木では不可能だったことが可能になりました。
つまりメタルウッドという発明は、単に素材が変わったという話ではありません。その後のヘッド設計の自由度すべての前提を作りました。1991年にキャロウェイが大型ヘッドで流れを変えたのも、金属ヘッドという土台があってこそ成立したことです。
クラブの種類ごとの役割はゴルフクラブの種類で整理しています。いま「ウッド」と呼ばれているものが木でない理由も、ここにあります。

木から金属へ、なぜ抵抗があったのか
技術として優れていたなら、金属ヘッドはすぐ普及したはずです。ところが実際には、受け入れられるまでに時間がかかりました。理由を知っておくと、用具の歴史の見方が変わります。
ひとつは打感と音です。木製ヘッドには柔らかい当たりと低い音があり、それを好む人が多くいました。金属は硬く、高い音が出ます。性能とは無関係な部分ですが、長く慣れたものが変わることへの抵抗は小さくありません。
もうひとつは上級者の視点です。木製ヘッドは小振りで、正確に当てる技術を持つ人には扱いやすい道具でした。金属化と大型化は、言い換えれば技術の価値を下げる方向の変化です。腕のある人ほど歓迎しにくい提案だったという構図があります。
そして見た目の問題です。構えたときにヘッドが大きく見えることに違和感を覚える人は、いまも少なくありません。構えづらいという感覚は実際の打球に影響するため、性能だけで割り切れる話ではありません。
それでも金属が標準になったのは、結果が数字で出たからです。平均的な飛距離が伸び、ミスの幅が縮まることが分かれば、好みの問題は後退します。プロが使い始めたことも決定的でした。
同じ構図は、その後も繰り返されています。大型化のときも、カーボンシャフトのときも、最初は好みと懐疑が先に立ち、結果が出てから標準になりました。シャフトの素材開発については本間ゴルフとはで扱っています。
用具の歴史は、こうした「好みと結果のせめぎ合い」の積み重ねです。1979年のメタルウッドはその最初の大きな一歩でした。
親会社が何度も変わってきた
テーラーメイドを調べると、資本の変遷が複雑なことに気づきます。整理すると次のようになります。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1979年 | ゲーリー・アダムスが創業 |
| 1984年 | フランスのサロモングループ傘下となる |
| 1997年 | サロモンがアディダスに買収され、アディダス傘下に |
| 2005年 | アディダスはサロモンを売却。テーラーメイドは残す |
| 2016年5月 | アディダスがゴルフ用具事業からの撤退と売却方針を発表 |
| 2017年5月 | 米KPSキャピタル・パートナーズへ全株式を売却 |
| 2021年5月 | 韓国のセントロイド・インベストメントパートナーズへ |
約40年で4回、資本の持ち主が変わっていることになります。
2005年の判断が興味深いところです。アディダスはサロモンというスキー用品の会社を手放す一方で、テーラーメイドだけはグループに残しました。ゴルフ用具に見込みがあると判断していたということです。
ところがその後、赤字が続きます。2015年8月から売却を含む検討が進められ、2016年5月に撤退方針が発表されました。売却の対象はテーラーメイド、アダムス、アシュワースの3ブランドでした。
2017年5月、米国の投資ファンドであるKPSキャピタル・パートナーズへの売却が決まります。売却額は4億2500万ドルで、日本円では報道により約476億円から485億円とされています(為替レートの違いによるものです)。
そして2021年5月、KPSから韓国系の投資ファンドであるセントロイド・インベストメントパートナーズへ移りました。現在の親会社はこのファンドです。
アディダスが手放した理由
2016年の撤退には、業界全体の事情が背景にあります。
主力の米国市場でゴルフ用品の需要減が続いており、収益が低迷していました。アディダスは主力のシューズとアパレルへ経営資源を集中させる方針を取りました。
注目したいのは、アディダスはゴルフから完全に撤退したわけではないという点です。クラブやボールといった用具からは離れましたが、シューズとウェアは「アディダスゴルフ」として継続する方針が同時に示されています。
同じ時期に、ナイキも動いています。2016年8月、ナイキはクラブ、ボール、バッグを含むゴルフ用品事業からの撤退を表明し、アパレルとフットウェアに集中する方針を打ち出しました。
つまり2016年という年に、スポーツ総合ブランド2社が揃ってゴルフ用具から離れたということになります。用具の製造は、専門性と設備投資が必要で、総合ブランドが片手で続けられる事業ではないという判断です。
資本が変わると製品はどうなるか
買う側として気になるのは、親会社が変わることで製品に影響が出るのかという点です。
実際のところ、開発の拠点と人は残ります。カールスバッドの本社と開発体制が維持されていれば、設計の思想が急に変わることはありません。資本の変更は経営の話であり、製品の連続性とは別の軸です。
ただし実務的に意味があるのは、中古で古いモデルを探すときです。長い歴史のなかでシリーズ名が何度も変わっており、同じ系統の名前でも年式によって中身が違います。資本が変わった前後で商品戦略が調整されることもあります。
型番と発売年まで確認してから比べるほうが確実です。中古クラブ全般の見方は中古ゴルフクラブの選び方にまとめています。
他のメーカーとの位置づけ
主要メーカーを並べると、それぞれ何で差をつけてきたかが見えてきます。
| メーカー | 差をつけてきた軸 |
|---|---|
| テーラーメイド | ヘッドの素材(メタルウッド) |
| キャロウェイ | ヘッドの大きさ(大型化) |
| PING | 体に合わせる仕組み(フィッティング) |
| 本間ゴルフ | シャフトの素材開発 |
どこを技術の中心に置いたかが違うという整理ができます。詳しくはキャロウェイゴルフとは、PINGゴルフとは、本間ゴルフとはで扱っています。
ブランドを層に分けて揃える構成を取っているメーカーについてはダンロップゴルフとはにまとめました。
在庫と価格を横断して見るなら、楽天市場でテーラーメイドを探すやAmazonでテーラーメイドを探すから探せます。
つるやゴルフONLINEで商品を探す
では、シャフト違いを含めた取り扱いを確認できます。
テーラーメイドに関するQ&A
Q. テーラーメイドはいつ創業したメーカーですか?
A. 1979年です。創業者はゲーリー・アダムスで、メタルウッドの発明者として知られています。
Q. 本社はどこですか?
A. アメリカのカリフォルニア州カールスバッドです。キャロウェイの本社も同じ街にあります。
Q. メタルウッドとは何ですか?
A. 金属製ヘッドのドライバーやフェアウェイウッドのことです。かつてヘッドはパーシモンなどの木材で作られていたため、金属になっても「ウッド」という呼び方が残りました。
Q. 金属ヘッドになって何が変わりましたか?
A. 中を空洞にできるため、同じ重さでヘッドを大きくでき、重量配分も設計できるようになりました。その後のヘッド設計の自由度の前提になっています。
Q. 親会社はどこですか?
A. 2021年5月から、韓国のセントロイド・インベストメントパートナーズです。それ以前はサロモン、アディダス、KPSキャピタル・パートナーズと変わってきました。
Q. アディダスはなぜ手放したのですか?
A. 米国市場でゴルフ用品の需要減が続き収益が低迷したため、主力のシューズとアパレルに集中する方針を取りました。2017年5月にKPSへ4億2500万ドルで売却しています。
Q. アディダスはゴルフから撤退したのですか?
A. 用具からは離れましたが、シューズとウェアは「アディダスゴルフ」として継続する方針が示されています。
まとめ
- テーラーメイドは1979年創業。創業者ゲーリー・アダムスはメタルウッドの発明者として知られる
- 本社はカリフォルニア州カールスバッド。キャロウェイの本社も同じ街にある
- かつてウッドのヘッドは木製だった。金属化によって大型化と重量配分の設計が可能になった
- 親会社は1984年サロモン、1997年アディダス、2017年KPS、2021年セントロイドと変わってきた
- アディダスは2005年にサロモンを売却した後もテーラーメイドを残していた
- 2016年に用具事業からの撤退を発表し、2017年に4億2500万ドルで売却
- 同じ2016年、ナイキもクラブ・ボール・バッグから撤退を表明した
ヘッドの素材を変えた会社、というのがテーラーメイドの歴史的な位置です。いま当たり前になっている金属ヘッドは、1979年の提案から始まりました。
資本は何度も変わってきましたが、開発の拠点は同じ街に残っています。製品を選ぶときは経営の話ではなく、型番と年式を見るほうが実用的です。